高IQ団体「MENSA」受験記―構造と思考の記録―

IQ・知能構造

序章:本稿の執筆動機と前提

高IQ団体「MENSA」に関する情報は、特に入会試験の実態や準備方法について、一般公開されている資料が極めて少ない状況です。

SNSやブログなどでは、断片的な感想や体験談が見られるものの、それらは体系化されておらず、構造的に整理された記録はほとんど存在していません。

私は、現役のMENSA会員として、これから入会を目指す方々――特に「何を準備し、どのように思考すればよいのか」と悩まれている方々に向けて、再現性のある準備手順と実体験に基づいた戦略的ヒントを提供したいと考え、本稿の執筆を決意いたしました。

なお、MENSAの規定により、試験問題の内容や形式など、守秘義務に抵触する情報の開示は一切行いません。

本稿はあくまで、「体験・準備・思考の構造理解」に基づいた、非公式かつ教育的目的による記録であり、団体の機密に触れる意図は一切ないことをここに明示いたします。

さらに、本記事で示す内容は「誰もがすぐに取り入れられる工夫」を中心にまとめています。これから挑戦する方にとって、最初の一歩を具体的に描くための地図となれば幸いです。

実践ステップ:本記事の目次を保存し、準備 → 当日 → 合格後の3フェーズで読了と実行の計画を立ててください。


MENSAとは?――MENSAという名に込められた思想

「MENSA(メンサ)」という名称は、ラテン語で「テーブル(特に円卓)」を意味する言葉に由来しています。

この名称には、「知性を持つ者が、職業・国籍・人種・肩書きを問わず、平等に集う場である」という理念が込められています。誰もが“知性”という共通項によって結ばれ、上下なく対等に語り合うことが許される空間――それがMENSAです。

この哲学は、会員同士の交流イベントや議論の場にも色濃く反映されており、「何者であるか」ではなく、「どのように考えるか」が問われる、構造的な共同体としての在り方が確立されています。

入会条件は明快で、上位2%相当の知能を証明できれば、学歴や経歴に関係なく入会資格が得られます

実践ステップ:入会方法(会場テスト/スコア証明)のどちらで挑むかを今決め、メリット・制約をメモしてください。


申し込み方法と受験の実際

MENSAの入会テストを受けるには、まず公式サイトから申し込みを行います。

定期的に全国各地で試験が実施されていますが、開催は不定期で、募集人数にも限りがあります。そのため、募集が始まった瞬間に定員が埋まってしまうことも珍しくありません。

試験の情報は以下のページに掲載されています:

希望する地域での開催が発表されたら、できるだけ早く申し込み手続きを済ませることが大切です。筆者もこの対策として、公式サイトの通知機能やSNSを活用し、告知が出たらすぐに申し込めるよう準備していました。

受験に関しては、次のようなルールがあります(最新の規定は必ず公式でご確認ください)。

  • 不合格になった場合:会場テストでも証明書提出でも同じく、その時点から1年以上あけなければ再挑戦できません
  • 挑戦できる回数:生涯で合計3回まで。テストと証明書は別枠ではなく合算カウントです。

また、WAIS-IV(成人用知能検査)やWISC-IV(児童用知能検査)などの公認知能検査のスコア証明を提出して入会する方法もあります。

ここで注意が必要なのは、どこで検査を受けてもよいわけではないという点です。MENSAが求める形式で正式な証明書を発行してくれる機関でなければ、書類は受理されません。受験を考える場合は、事前に必ず「MENSA用の証明書を発行できるか」を確認しておきましょう。

筆者自身はこの方法を使わず、会場で行われるMENSA公式の入会テストに挑戦しました。証明書による入会は便利な方法ですが、不合格ならそこから1年間待機が必要で、さらに合算で3回までという点に注意が必要です。

まとめ/実践ステップ:入会案内ページをブックマークし、すぐに申込ができるように開催通知をONに設定。証明書ルートも検討する場合は、発行機関に「MENSA提出用形式の発行可否」を問い合わせてください。


MENSA受験の動機と経緯

私は幼少期より、クイズ番組などの知的なエンターテインメントに強い関心を持っていました。問題に対して即座に答えを導こうとする思考活動は、自然と論理的推論力や直感的な判断力を鍛える機会となっていたのです。

その中で、「MENSA(メンサ)」という高IQ団体の存在をテレビ番組で知りました。上位2%という明確な数値基準に支えられた組織に対し、当時は「こうした世界もあるのか」と好奇心を抱いたものの、情報が乏しかったため、実際の行動には至りませんでした。

転機が訪れたのは、それから数年後のことでした。再びMENSAの情報に触れたことで入会を意識するようになりましたが、当時は新型コロナウイルス感染症の影響により、入会テストが中止されていました。公認の知能検査(WAISなど)による入会も選択肢として存在していましたが、費用面での制約があり、当時の私には現実的な選択とはなりませんでした。

その後、公式サイト上でテスト再開の告知がなされ、受験の機会が訪れました。ただし、受験枠は非常に限られており、募集開始と同時に枠が埋まることが多かったため、私はサイトの更新通知機能を活用し、告知と同時に申し込みを完了させる準備を整えていました。こうして、私は入会テストへの挑戦を開始いたしました。

実践ステップ:具体的な申込予定日を決め、申込後にカレンダーに登録してください。


入会テストに向けた準備

MENSAの入会テストに臨むにあたって、私が行った準備は決して多くはありませんでしたが、限られた中でも効果的で本質的な方法を選択したつもりです。本章では、私がどのようなアプローチで準備を行ったのか、その全体像をお伝えします。

本稿の内容は筆者個人の実践体験に基づくものであり、すべての読者に対する再現性を保証するものではありません。

ノルウェーMENSAのサンプル問題との出会い

最初に取り組んだのは、ノルウェーMENSA公式サイトに掲載されているサンプル問題でした。これらは言語に依存しない3×3マトリックス(9マスの図形規則性を見抜く形式)が中心で、「純粋な構造思考」を鍛えるのに適していました。

ただし、このサンプル問題は解答が公開されていないため、正しく規則を見抜けているかを自己確認しづらい課題があります。私は市販の解答付き図形推論問題集も併用し、ノルウェーの問題で「時間の厳しさ」を体感しつつ、市販問題集で「なぜそうなるか」を言語化して暗記する二本立てで進めました。

注:ここで紹介しているサンプル問題は、MENSA入会テストと同一であることを保証するものではありません。あくまで思考トレーニングの一例です。

使用した問題集と選定基準

私が用いたのは、言語バイアスの少ない図形推論型の市販問題集です。いずれも図形中心のため言語の壁は最小限でした。なお、いずれもMENSA入会テストそのものではなく、「構造把握力を鍛えるための素材」として使用しています。

  • IQ Logical Reasoning Test – Zoe Hampton
  • Culture And Language Free IQ Test – Zoe Hampton

問題演習の手順と意図

演習は次の2段階で進めました。

  • 第1段階(解法ストックの構築):最初は時間を測らず、分からなければ答えを見て「なぜそうなるのか」を説明できるまで反復しました。数学で定義を知らなければ解けないのと同じで、この種の問題も解法を暗記し、理解を伴った“引き出し”を作ることが出発点だと考えました。最初は答えを見てもよいが、徐々に見ないで解く練習に移行します。
  • 第2段階(スピードと精度の統合):ストックができたら、1問20秒を目安に素早く解く訓練に切り替えました。これは「引き出しから即座に取り出す」練習で、本番の厳しい時間制限を想定したものです。

最終的なゴールは、すべての問題を何も見ずに20秒以内で解ける状態に到達することでした。

MENSA準備で図形ノートに向き合うMaksim
解法ストックは「ゆっくり理解→20秒で取り出す」を往復して定着させます。

脳機能の最適化:睡眠の設計

MENSA入会テストは「純粋な知性=情報処理と抽象化の速度と精度」を測る試験であり、脳のコンディションが極めて重要になります。私は「睡眠を削らないこと」を最優先にしました。6時間を下回る睡眠が数日続くと集中力が落ちる実感があったため、テスト前2週間は7〜8時間の睡眠を確保しました。

一般論:睡眠不足は注意・作業精度の低下と関連することが報告されています。本稿は体験に基づく実践例として紹介しています。

シンプルさを保つという戦略

脳に良い習慣は多くありますが、増やしすぎると解法暗記がおろそかになり逆効果です。私は「解法ストックを作る」「睡眠を確保する」の2点に集中し、余計なことは増やしませんでした。やることを最小限に絞ることで、注意資源を本質に投下できました。

実践ステップ:(1)3×3マトリックスを10問、理由を言語化しながら解く。(2)翌日は同10問を20秒制限で再挑戦。(3)前日につまずいた規則をカード化してストックしてください。


試験当日の流れと心境

いよいよ受験当日。会場へ向かう道すがら、意外にも緊張よりも「やっとこの瞬間が来たか」という静かな高揚感がありました。試験会場には学生から社会人、シニア層まで多様な方々が集まっており、「知性」というただひとつの基準で繋がる独特の空気感が漂っていました。

開始前にはスタッフから簡単な説明があり、合図とともに問題用紙が配布されます。具体的な内容や形式には触れられませんが、全体的には素直な構造の問題が中心で、奇抜さよりも「いかにミスを防ぐか」が重要だと感じました。

私は試験中、ケアレスミスを避けることに集中しました。20秒で解く練習を積んでいたおかげで時間には余裕があり、最後に何度も見直しを行うことができました。「これまでの練習が無駄ではなかった」と思えた瞬間でもあり、気持ちの上でも大きな安心につながりました。

MENSA試験に取り組むMaksim
20秒練習で余裕を作り、最後は丁寧に見直し。

実践ステップ:前日までにチェックリスト(腕時計・筆記具・身分証・会場アクセス)を用意し、当日は見直し用に5〜10分の時間を必ず残してください。


テスト後の流れと合格通知について

試験終了後には、スタッフから「結果は◯週間後にメールで通知します」といったアナウンスがあります。通知は通常2〜3週間以内に届きますが、連休や年末年始を挟むと遅れる場合もあるため、焦らず待つことが大切です。

通知メールには主に以下の内容が記載されています:

  • 合否結果
  • 合格者には入会金・年会費の支払い方法
  • 希望者向けのカード型会員証の案内

合格通知には「上位2%の知能を有することが確認された」と明記されており、その一文を目にしたときの達成感はひとしおでした。記載通りに入金手続きを行い、確認が取れると会員限定ページへのログイン情報が別メールで届きます。これが揃って初めて、正式にMENSA会員として認定されます。

MENSA合格通知(Acceptance Notice)を確認するMaksim
結果は通常2〜3週間でメール通知。入金確認後に会員ページのログイン情報が届きます。

実践ステップ:通知待機の2〜3週間は、(1)解法カードの整理、(2)睡眠と生活リズムの維持、(3)次回に向けた改善点のメモ(不合格時想定)を行ってください。


入会後にできること(MENSA会員の特典)

オフラインイベントに参加できる

MENSAに入会すると、会員同士が集まるさまざまなイベントに参加できます。ボードゲーム大会やクイズバトルなど知的好奇心をくすぐる企画から、リラックスして話せる食事会、気軽に参加できるZoom懇親会まで多彩です。多くは会員有志による自主企画で、参加は自由です。

知的共鳴者との出会い

ここで出会えるのは、同じように「考えること」を楽しみ、限界を押し広げようとする仲間たちです。普段の生活ではなかなか共有できない話題でも、「ここなら通じる」と感じられる瞬間に出会えるはずです。

年次総会と公式イベント

MENSAには、本部が主催する公式イベントもあります。代表的なものが年次総会です。年に1度、全国規模で開催され、議案の採決やグッズ販売が行われます。終了後には懇親会があり、会員同士が交流する良い機会になります。また、新会員向けのオリエンテーションなども随時開催されています。これらは会員専用ページからの事前エントリーが基本ですが、内容によっては当日参加が認められる場合もあります(要確認)。円滑な運営のため、事前の参加表明が推奨されます。

実践ステップ:会員ページにログイン後、直近1件のイベントをブックマークし、参加可否を決めてカレンダーに登録してください。


終章 ― MENSA入会は「ゴール」ではなく「スタート」

MENSA入会は「上位2%の知能を証明できた」というひとつの区切りにすぎません。さらに上位の高IQ団体として、たとえば METIQ(IQ156・SD15)や HELLIQ(IQ160・SD15)といった組織も存在します。どこを目指すかは人それぞれ。MENSAに留まるのも、さらに挑戦するのも自由です。

大切なのは、数値や肩書きそのものではなく、「知性とは何か」を自分の中で問い続ける姿勢です。知性とは――

  • 物事の構造を見抜く力
  • 問いを立て続ける意志
  • そして、限界を疑う姿勢

MENSA入会は終着点ではなく、むしろ出発点。あなた自身の問いを持ち、考え続けることこそが本当の旅の始まりです。

実践ステップ:ニュースや日常の出来事をひとつ選び、「なぜ起きたか?」を3つの要因に分けてメモしてください。今日から始められる知性トレーニングです。

著者について

本記事は、IQや認知科学の研究と実践を重ねる筆者の視点から執筆されています。
「天才は後天的に育てられる」という信念を軸に、誰もが日常の中で知性を鍛えられる方法を探究しています。

筆者のプロフィールや本ブログ全体の理念については、運営者情報ページをご覧ください。

ご質問やご感想などがあれば、運営者情報ページに記載されているメールアドレスへお気軽にお寄せください。

あなたの思考や学びの旅に、本記事が静かなヒントをもたらせれば幸いです。

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