はじめに
これまで私は、IQについていくつかの記事で書いてきました。しかし、これらの記事を見てこう考える方もいるかもしれません。「IQよりもっと大事な能力があるのではないか?」と。
結論から言えば、これからの時代に必要なのは創造力です。多くの人は創造力を「ゼロからイチを生み出す力」と思いがちですが、実際には既にある要素を組み合わせて新しい形を作り出す力に近いのです。本記事では、その正体を数学のシンプルな仕組みをヒントに紐解いていきます。
IQの本質的な理解については、以下の記事で詳しく解説しています。興味のある方は先に目を通していただけると理解が深まるでしょう:
創造力とは「ゼロに近いものをイチにする力」

一般的には、創造力は「ゼロからイチを生み出す力」と考えられています。しかし私が考える創造力は少し違います。限りなくゼロに近い小さな要素を、適切なものと掛け合わせてイチにする力です。
たとえば「1/2」という小さな数があったとします。これを「2」と掛ければイチになります。同じように「1/10」に対しては「10」を見つけて掛ければイチになります。つまり、創造力とは「逆数を見つける力」にも近いのです。
日常に置き換えれば、小さな違和感やアイデアをそのまま放置するのではなく、そこにピタリと補う要素を探し出し、掛け合わせて形にすること。これが「ゼロに近いものをイチに育てる」創造力の正体だと考えます。
日常に応用できる「掛け合わせの発想」
- 読んだ本や記事を別分野のアイデアと組み合わせる
- 趣味や体験を、仕事や勉強に応用できないか考える
- 小さな違和感や断片的なメモを、後から「逆数」にあたる補完要素と組み合わせてみる
このような練習は、ゼロから何かを無理に生み出すのではなく、すでにある「ほとんどゼロの芽」に逆数を掛けるようにしてイチへと成長させる感覚を磨くことにつながります。
具体例 — iPhone

抽象的な話をもう少し身近にすると、iPhoneがわかりやすい例です。iPhoneは、携帯電話と音楽プレーヤーという既存の要素を掛け合わせることで生まれました。さらに、ある著名な起業家が大学時代に受講した「カリグラフィ(文字デザインの講義)」の経験が、美しいフォントや洗練されたデザインにつながっています。
つまり、一見小さなインプットや経験が、後になって逆数のようにピタリとはまることで、大きな創造につながるのです。以前の記事でも、大量インプットの大切さについて述べましたので、ぜひこちらも参考にしてください:
大量インプットの習慣化と思考の話
では、IQは必要ないのか?
ここまで読むと「じゃあIQはいらないのでは?」と思うかもしれません。ですが私は、IQは創造力のために必要な土台だと考えています。なぜなら、まず物事の法則や仕組みを見抜けなければ、そもそもどの要素をどう掛け合わせればいいのかも見えてこないからです。
だからこそ、IQはしっかり鍛える価値があります。IQを高めたい方は、以前に書いたこちらの記事も参考にしてください:
IQを高める条件とWAIS・ハイレンジの考察
あなた自身の「掛け算の種」は?

過去の学びや経験の中に、まだ活用していない要素はありませんか?
それらを新しい場面に当てはめたり、異なるジャンルと組み合わせることで、思わぬアイデアが生まれることがあります。
ぜひ一度、自分の中に眠っている「逆数のような種(小さな要素を補うアイデアのこと)」を探してみてください。小さな要素が、未来の創造を大きく動かすきっかけになるはずです。
これからの時代に必要なこと
これからAIが普及すれば、単純な作業や定型的な仕事はどんどん置き換えられていくでしょう。つまり、これからの社会で価値を持つのは創造力を発揮できる人です。だからこそ、IQを鍛えつつ、大量のインプットを怠らず、「逆数」を見つけて組み合わせること。この力こそが、これからの時代を生き抜くうえで極めて重要な鍵になると私は考えています。
ぜひ今日から、小さな「掛け算の種(小さな要素を補うアイデアのこと)」を探す習慣を始めてみてください。些細な気づきやアイデアが、未来の大きな創造へとつながっていきます。それこそが、あなた自身の創造力なのです。
著者について
本記事は、IQや認知科学の研究と実践を重ねる筆者の視点から執筆されています。
「天才は後天的に育てられる」という信念を軸に、誰もが日常の中で知性を鍛えられる方法を探究しています。
筆者のプロフィールや本ブログ全体の理念については、運営者情報ページをご覧ください。
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