IQのその先にあるもの —— 群論で紐解く創造力の正体

IQテスト


はじめに

これまで私は、IQについていくつかの記事で書いてきました。しかし、これらの記事を見てこう考えるようになるかもしれません。「IQよりもっと大事な能力があるのではないか?」と。

結論から言いますと、これからの時代に必要なのは創造力です。多くの人が創造力を「ゼロからイチを生み出す力」と思っているかもしれません。しかし私は、群論の比喩を使って、創造力の正体を少し違う形で紐解いてみたいと思います。

群論とは何か

黒板の前で群論の定義を指で示すMaksim
群論の基本構造を黒板で示すMaksim

群論とは、実数の掛け算が持つ性質を、より抽象的に一般化したものです。たとえば、単位元、逆元、結合法則が定義としてあります。数式で書くと、群は次の条件を満たす集合 \( G \) と演算 \( \cdot \) で定義されます。

  1. (結合法則) 任意の\(a,b,c \in G\)に対し、
    \[ (a \cdot b) \cdot c = a \cdot (b \cdot c).\]
  2. (単位元の存在) ある \(e \in G\)が存在し、任意の\(a \in G\)に対し、
    \[e \cdot a = a \cdot e = a.\]
  3. (逆元の存在) 任意の\(a \in G\)に対し、ある\(b \in G\)が存在し、
    \[a \cdot b = b \cdot a = e.\]

こうした構造を持つのが群です。

群論と創造力の関係

では、この群論が創造力とどう関係するのでしょうか。私は創造力とは、ゼロから何かを生み出す力というより、限りなくゼロに近いものを一気に拡張する力だと考えています。

たとえば現在が \( 10^{-10} \) だとすれば、そこに \( 10^{10} \) を掛ければ、結果として1になります。創造力とは、この「掛ける値」を見つけて作用させる力ではないでしょうか。これは群論における逆元の存在と似ています。

具体例 — iPhone

携帯電話と音楽プレーヤーの組み合わせをノートにまとめるMaksim
既存要素を掛け合わせて新しい価値を生む様子を思索するMaksim

この抽象的な話を具体的にすると、iPhoneがわかりやすい例です。iPhoneは携帯電話と音楽プレーヤーを掛け合わせることで誕生しました。さらに、Steve Jobsが大学生の頃に受講したカリグラフィの講義が、iPhoneの美しいフォントデザインに活かされています。

これはまさに、ささいなインプットがどこかで逆元のように作用して、大きな創造物につながった例です。以前の記事でも、大量インプットの大切さについて述べましたので、ぜひこちらも参考にしてください:
大量インプットの習慣化と思考の話

では、IQは必要ないのか?

IQと創造力の関係を座標軸で示すMaksim
IQを土台に創造力が伸びていく構造を指し示すMaksim

ここまで読むと「じゃあIQは必要ないのでは?」と思うかもしれません。ですが私は、IQは創造力のために必要な土台だと考えています。なぜなら、そもそも法則を見抜けなければ、どの要素をどう組み合わせればいいかも見えないからです。

だからこそ、私はIQはしっかり鍛えるべきだと考えています。IQを上げたい方は、以前に書いたこちらの記事も参考にしてください:
IQを高める条件とWAIS・ハイレンジの考察

これからの時代に必要なこと

これからAIが普及すれば、創造力が必要のない単純な仕事はどんどん淘汰されていくはずです。つまりこれからは創造力を持つ人だけが生き残る世の中に転換していくと思います。だからこそ、IQを鍛えつつ、大量のインプットを怠らず、群論的な思考で「逆元」を見つけて組み合わせること。この能力が、これからの時代を生き抜くために最も重要だと私は考えています。

ぜひ今日から、小さな「掛け算の種」を探す習慣を始めてみてください。それが創造力の群論です。

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