はじめに
自己啓発(self-improvement)は、人間の成長を促し、目標達成への原動力となる素晴らしい営みです。
かくいう私も、自己啓発に関する動画や書籍を日常的に好んで取り入れてきました。
そもそものきっかけは、
人生をより良い方向に変えたい
脳を最大限に生かす方法を知りたい
という強い願いが、内側から湧き起こったことにあります。
この想いに導かれ、フロー状態(flow state)や集中力(concentration)に関する情報を探していたところ、
パラノイア氏による動画に出会いました。
彼の発信には、最新の科学的根拠(scientific evidence)に基づいた言及がなされており、
「脳についてここまで分かってきたのか」という驚きとともに、
さらに深い興味が湧き上がったのを今でも鮮明に覚えています。
そこから、潜在意識(subconscious mind)の書き換えや脳内ハック術(brain hacking techniques)といったテーマにも関心を広げ、
加えて、さまざまな発信者による情報にも積極的に触れるようになりました。
自己啓発を通じて多くの学びと刺激を得ることができた一方で、
次第に「学ぶことそのもの」に夢中になり、
現実世界での行動や成果をおろそかにするという落とし穴にも、私は確かに陥りました。
本稿では、自己啓発に熱中するあまり見落としがちなリスクについて、
自戒を込めて整理し、読者のみなさまにも警鐘を鳴らしたいと思います。
自己啓発にハマりすぎるスパイラル
自己啓発に熱中するあまり、
気づかぬうちに「沼」にハマるスパイラルに陥ることがあります。
自己啓発スパイラルの典型パターン
- 動画を見る
- 自分も頑張ろうという気持ちになる
- 実践してみる
- しかし、なかなか好転せずモヤモヤする
- 新たな情報がないか検索する
- 再び動画を見る
- → ①に戻る
このループは、一見すると学びと成長を促しているように見えますが、
実際には知識収集と自己満足の反復になってしまうリスクを孕んでいます。
かくいう私も、このスパイラルに深くはまり込んだことがありました。
当時の私は、実践しているにもかかわらず、
すぐに目に見える成果が得られないことに焦りを感じ、
次々と新しい情報に飛びついてはまた試す、ということを繰り返していました。
手段が目的にすり替わる危険性
自己啓発に触れることは本来手段であるはずです。
しかし、知らず知らずのうちに、それ自体が目的にすり替わってしまう現象が起こりがちです。
「学んでいる自分」「頑張っている気持ち」に満足し、
肝心の行動や現実の変化を置き去りにしてしまう。
これは、現実とのギャップを内面的な満足感で埋めようとする、人間の自然な心理反応とも言えます。
スパイラルから抜け出すために必要なこと
このスパイラルから抜け出すには、
学んだら、すぐに行動に移すことです。
完璧主義が招く二つの落とし穴
「じゃあやればいいんでしょ?」という人がいるかもしれません。
しかし、多くの人が完璧にやろうとしがちです。かくいう私もそうでした。
しかし完璧を求めすぎると、次の2つの落とし穴に陥りやすくなります。
- 完璧にできずに習慣化できず、挫折してしまう
- 習慣化できても「習慣をこなすこと」が目的になり、肝心の目標達成が抜け落ちる
これを防ぐためにも、常になぜこの行動が必要なのかを意識し続けることが不可欠です。
行動のハードルを極限まで下げる
完璧を求める意識を手放したうえで、
次に大切なのは、できるだけハードルを極限まで下げることです。
たとえば、
- 「集中力を高める」なら、まず短時間だけでもスマホを手元から離す
- 「朝活を始める」なら、まず目覚ましを5分だけ早くセットする
- 「筋トレを習慣化したい」なら、まず腕立て伏せを1回だけやってみる
このように、
たったこれだけでいいのか?と思うくらい小さな行動から始めることで、
実行への心理的抵抗を最小限に抑えることができます。
まずは習慣を極限まで簡単なものにし、実行し、
できたら少しずつ強度を上げていく。
このステップが、無理なく成長につながる鍵になります。
重要なのは、完璧を目指すのではなく、
まず行動を起こす流れを作ることです。
小さな成功体験を積み重ねることで、
行動の流れは自然と生まれていきます。
一朝一夕では変わらない現実
さらに重要なのは、自己啓発に取り組んだ結果が、
一朝一夕には現れないという現実を理解することです。
成長とは、短期間で劇的に現れるものではなく、
多くの人が語るように、習慣化(habit formation)を通じて、じわじわと定着していくものです。
かくいう私も、
1週間前から瞑想(meditation)を日課に取り入れ始めましたが、
正直なところ、今のところ劇的な変化は感じていません。
しかし、瞑想の効果が明確にあらわれるまでには、かなりの時間を要することが多くの方によって語られています。
そのため、私自身も焦らず、
効果が見え始めるその日まで、コツコツと習慣化を続けていこうと努力しています。
自己変革とは、
目に見えない地中の根を伸ばしていくようなプロセスなのだと、
今まさに実感しているところです。
情報過多と義務感への対処法
情報が多すぎると、「すべてやらなければ」という義務感に陥りがちです。
しかし、ここで重要なのは、取捨選択をする勇気です。
具体例:16時間断食について
たとえば、16時間断食(intermittent fasting)という方法がありますが、
すべての人にとって最適とは限りません。
私自身も、現時点では16時間断食を取り入れていません。
その理由は、空腹時の感情の揺れ動きが激しかったためです。
ただし、消化という行為が体に負担をかけることは事実であり、
現在は食事量を最小限にとどめるよう意識しています。
自分に合わないと感じたものは、無理に続ける必要はないのです。
発信者間でも意見が分かれる例:コールドシャワー
また、コールドシャワー(cold shower)に関しても、
ドーパミン分泌を促進するとして推奨する意見がある一方で、
成功者に習慣化している人が少ないという理由から懐疑的な声もあります。
加えて、
心臓や循環器系に持病を抱えている方にとっては、
急激な寒冷刺激が健康リスクとなる可能性もあるため、
安易に取り入れるべきではありません。
このように、情報の真偽や自分の状況を見極めながら、
最終的には自分自身で判断することが不可欠です。
合わないと思ったら、勇気を持ってやめる。
自分にとって本当に必要なものだけに集中する。
この柔軟な姿勢が、自己成長を現実のものにしていきます。
まとめ:情報に振り回されず、本質に立ち返る
自己啓発に取り組むときに大切なのは、
情報を得て、正しく理解し、自分にとって必要かを判断し、行動し、そして習慣化させることです。
情報を受け取る際には、
疑ってかかる姿勢を持つことが原則だと私は考えています。
「なぜそれをするのか?」
「どのような根拠があって効果があるのか?」
常にこう問いかけることによって、
世の中にあふれる情報に振り回されることなく、
自分自身の軸でしっかりと取捨選択していくべきだと思います。
そして何より、
大事なのは本質を見抜くことです。
最初は難しいかもしれません。
しかし、経験を重ねていくうちに、次第に感覚は磨かれ、自然と見抜けるようになっていきます。
焦らず、小さく始め、完璧を求めず、必要ないものは手放す。
本来の目的を常に見失わず、着実に歩み続ける。
かくいう私も、そのような落とし穴に落ちないよう、自戒を込めて。
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